福岡への移住を検討している皆さん、またはすでに福岡にお住まいの方に朗報です。
あまがみ福岡市地下鉄七隈線が、さらに便利になる計画が動き出しています
2025年11月、福岡市は七隈線の「橋本駅」から空港線の「姪浜駅」への延伸を検討すると正式に発表しました。
2023年3月に天神南駅から博多駅への延伸が実現し、利用者が急増している七隈線。今度は西側への延伸により、福岡市西区の交通ネットワークがさらに強化される見込みです。



また、同時に博多駅から福岡空港国際線ターミナルへの延伸も検討されており、福岡の交通インフラは大きな転換期を迎えています
この記事では、橋本-姪浜延伸計画の詳細、実現の可能性、移住者への影響、そして今後のスケジュールまで、福岡移住ブログならではの視点で徹底解説します。
七隈線の橋本-姪浜延伸計画、検討段階に入るも課題は多い


結論から申し上げますと、福岡市地下鉄七隈線の橋本駅-姪浜駅間の延伸計画が正式に検討段階に入りましたが、実現にはいくつかの大きな課題があります。
延伸計画の概要(2025年11月発表)
橋本駅-姪浜駅間延伸
- 延伸距離:約4.5km
- 想定利用者:1日あたり約2.7万人
- 概算事業費:約1,790億円
- 採算性:単年度1億円の赤字、費用便益比0.6
- 償還年数:償還不可(採算が取れない)
- 検討費計上:2026年度予算案での計上を視野
博多駅-福岡空港国際線ターミナル間延伸
- 延伸距離:約3.5km
- 想定利用者:1日あたり約2.9万人
- 概算事業費:約1,490億円
- 採算性:単年度5億円の赤字、費用便益比0.3
- 償還年数:298年(目安の40年を大幅超過)
七隈線の6両化計画
- 現状:4両編成、定員約380人
- 計画:6両編成、定員約570人
- 事業費:約250億円(車両製作と施設改修)
- 実施方針:混雑緩和の抜本対策として着手決定
現状と課題
- 検討段階に正式移行:2026年度予算での検討費計上を視野
- 採算性に課題:両延伸とも費用便益比が1.0を下回る
- 住民要望は強い:橋本・姪浜駅周辺住民から長年の要望
- 事業費が巨額:橋本-姪浜だけで1,790億円
- 6両化は確定的:混雑緩和のため250億円で実施へ
なぜ今、橋本-姪浜延伸が検討されているのか


1. 博多駅延伸後の利用者急増
2023年3月の博多駅延伸後、七隈線の1日あたりの乗客数は急増し、2025年度9月末時点で15万8,000人に達しています。これは2024年度通年の予測値14万5,000人をすでに上回っており、混雑が深刻な問題となっています。
利用者数の推移:
- 2022年度(延伸前):約8万人/日
- 2023年度(延伸後):約12.6万人/日(約1.6倍)
- 2024年度予測:14.5万人/日
- 2025年度9月末時点:15.8万人/日
ピーク時の混雑率:
- 最大130%に達する
- 朝のラッシュ時は身動きが取れない状態
2. 橋本・姪浜駅周辺住民の長年の要望
橋本駅と姪浜駅周辺の住民からは地下鉄の接続を求める声が長年上がっていました。
両駅の利用状況:
- 橋本駅:1日あたり約4,500人
- 姪浜駅:1日あたり約19,800人
現在、橋本駅から姪浜駅へ直接行く公共交通機関はなく、バスや自家用車での移動が必要です。



延伸が実現すれば、福岡市西区の住民にとって大きな利便性向上
3. 福岡市西区の交通不便解消
福岡市西区は、七隈線の開業前から「鉄道空白地帯」とされてきました。



現在でも、橋本駅から西側(野方、石丸、今宿方面)は鉄道がなく、バスに依存しています
現状の交通手段:
- 西鉄バス:橋本-姪浜間を約20分で結ぶ
- 自家用車:約15分(渋滞時は30分以上)
- 自転車:約30分
延伸後の想定:
- 地下鉄:約10分前後(想定)
- 乗り換えなしで空港線とつながる
- 姪浜駅でJR筑肥線にも接続
4. 地下鉄環状線構想の一部
橋本-姪浜間の延伸は、かつて計画されていた「福岡市営地下鉄環状線計画」の一部です。



この構想では、七隈線を姪浜駅まで延伸し、さらに空港線を福岡空港から宇美町経由で箱崎線の貝塚駅まで延伸して、地下鉄を環状化する計画でした
環状線計画の全体像:
- 七隈線:橋本駅→姪浜駅(今回検討中)
- 空港線:福岡空港駅→宇美町→貝塚駅(構想段階)
5. 混雑緩和のための総合対策
福岡市は、七隈線の混雑緩和に向けて、複数の対策を同時に検討しています。
対策の全体像:
- 6両化(確定):約250億円で車両と施設を改修
- 橋本-姪浜延伸(検討中):西側からの利用者を分散
- 博多-空港国際線延伸(検討中):東側への延伸で利用分散
- 増便(実施中):2023年7月と2024年3月にダイヤ改正
延伸実現の課題と障壁
1. 採算性の問題
福岡市の試算では、橋本-姪浜間の延伸は単年度1億円の赤字が生じ、費用便益比は0.6、償還不可という結果になっています。
採算性の指標:
- 費用便益比(B/C):0.6(1.0以上が望ましい)
- 単年度収支:1億円の赤字
- 償還年数:償還不可(採算が取れない)
- 事業費:1,790億円
比較:博多-空港国際線間:
- 費用便益比:0.3(さらに厳しい)
- 単年度収支:5億円の赤字
- 償還年数:298年
2. 巨額の事業費
約1,790億円という事業費は、福岡市の財政にとって大きな負担となります。
事業費の内訳(推定):
- トンネル工事:約1,200億円
- 駅舎建設:約300億円
- 車両購入:約150億円
- その他設備:約140億円
参考:過去の延伸事業費:
- 天神南-博多間(1.4km):当初450億円→最終587億円
- 今回の計画(4.5km):1,790億円
3. 技術的な課題
橋本-姪浜間には、いくつかの技術的な課題があります。
想定されるルート: 橋本駅→野方→石丸→姪浜駅
技術的課題:
- 地質の問題:博多駅延伸時に陥没事故が発生した経緯
- 地下埋設物:既存のインフラとの競合
- 姪浜駅での接続:空港線との接続方法
- トンネル深度:地下25m以上の深さが必要
4. 既存バス路線との競合
西鉄バスが橋本-姪浜間を運行しており、地下鉄延伸により影響を受けます。
現状のバス路線:
- 路線数:複数路線が運行
- 運行本数:朝夕は15分間隔程度
- 所要時間:約20分
- 運賃:200円程度
延伸後の影響:
- バス利用者の地下鉄へのシフト
- バス路線の再編が必要
- 西鉄との調整が課題
5. 市民の理解と合意形成
巨額の税金を投入するため、市民の理解が不可欠です。
賛成意見:
- 交通利便性の向上
- 西区の発展促進
- 渋滞緩和
- 環境負荷の軽減
慎重意見:
- 採算性への懸念
- 他の公共事業への影響
- バスで十分という声
- 事業費の妥当性
延伸が実現した場合のシナリオ
シナリオ1:西区住民の通勤が劇的に改善
現在の通勤パターン:
Aさん(野方在住、天神勤務)
- 自宅→(バス15分)→橋本駅
- 橋本駅→(七隈線12分)→天神南駅
- 天神南駅→(徒歩8分)→オフィス
- 合計所要時間:約40分
延伸後の通勤パターン:
- 自宅→(徒歩10分)→野方駅(新設)
- 野方駅→(七隈線5分)→橋本駅
- 橋本駅→(七隈線12分)→天神南駅
- 天神南駅→(徒歩8分)→オフィス
- 合計所要時間:約35分
改善ポイント:
- バス待ち時間の削減
- 雨天時の移動が楽
- 定時性の向上
シナリオ2:姪浜駅周辺の不動産価値が上昇
延伸前の姪浜駅:
- 空港線とJR筑肥線の乗換駅
- すでに利便性は高い
- 家賃相場:1LDK 6万円〜
延伸後の姪浜駅:
- 七隈線も加わり、3路線が交わる大ターミナル駅に
- 博多駅へ2ルートで行ける(空港線経由・七隈線経由)
- 福岡市西区全体へのアクセスが向上
想定される影響:
- 家賃・不動産価格の上昇(10〜20%程度)
- 新規マンション開発の増加
- 商業施設の誘致促進
- 移住者の増加
シナリオ3:福岡市西区の人口増加が加速
現状の福岡市西区:
- 人口:約21万人(福岡市7区中3位)
- 増加率:年1%程度
- 課題:交通不便による郊外化の鈍化
延伸後の想定:
- 野方、石丸エリアの開発促進
- 駅周辺にマンション・商業施設が集積
- 若い子育て世代の流入
- 人口増加率が年2%に加速(想定)
移住者目線のメリット:
- 糸島への移動も便利に
- 福岡市中心部へのアクセス良好
- 自然環境も豊か
- 家賃は中央区より安い
シナリオ4:環境への好影響
自動車利用の減少:
- 橋本-姪浜間のマイカー通勤が減少
- バス利用者の一部が地下鉄にシフト
- CO2排出量の削減
渋滞緩和:
- 202号線(国体道路)の渋滞緩和
- 福岡都市高速の混雑軽減
- 物流効率の向上
環境指標:
- CO2削減:年間約5,000トン(想定)
- 自動車交通量:10%減少(想定)
移住者が知っておくべき今後の展望
実現までのタイムライン(想定)
橋本-姪浜延伸が実現するまでには、長い年月がかかります。
想定スケジュール:
- 2026年度:検討費計上、基礎調査開始
- 2027〜2028年度:詳細ルート検討、環境アセスメント
- 2029年度:都市計画決定
- 2030年度:鉄道事業許可取得
- 2031年度:着工
- 2040年代前半:開業(想定)
過去の実例(博多駅延伸):
- 2011年:事業化決定
- 2012年:鉄道事業許可取得
- 2014年:着工
- 2023年:開業(当初2020年予定が遅延)
- 所要年数:約12年
実現の可能性
現時点での実現可能性を客観的に評価します。
実現を後押しする要因: ✅ 住民要望が強い ✅ 混雑緩和の必要性が明確 ✅ 福岡市の人口増加が続いている ✅ 博多駅延伸が成功した実績
実現を阻む要因: ⚠️ 採算性が厳しい(費用便益比0.6) ⚠️ 事業費が巨額(1,790億円) ⚠️ 福岡市の財政負担が大きい ⚠️ 市民の合意形成が必要
総合評価: 実現可能性は50%程度と見られます。採算性の問題をクリアできるかが最大の焦点です。
代替案の可能性
採算性の問題から、延伸以外の代替案も検討される可能性があります。
代替案1:BRT(バス高速輸送システム)
- 専用レーンを設けた高速バス
- 事業費:100億円程度(地下鉄の1/17)
- 柔軟なルート設定が可能
代替案2:LRT(次世代型路面電車)
- 地上を走る軽量軌道交通
- 事業費:300〜500億円程度
- ヨーロッパで普及
代替案3:バス路線の強化
- 専用レーンの拡充
- 運行本数の増加
- 最も低コスト
移住検討者へのアドバイス
福岡移住を検討している方へ、延伸計画を踏まえたアドバイスをお届けします。
すぐに福岡移住を考えている方
橋本駅周辺を検討している場合:
- ✅ 現時点でも十分便利(七隈線の起点駅)
- ✅ 延伸の有無に関わらず住みやすいエリア
- ✅ 延伸が実現すればさらに便利に
- ⚠️ 延伸まで15年以上かかる可能性
- ⚠️ 実現しない可能性もある
姪浜駅周辺を検討している場合:
- ✅ すでに空港線とJR筑肥線がある
- ✅ 利便性は高く、延伸を待つ必要なし
- ✅ 延伸が実現すればさらに価値上昇
- ⚠️ 延伸発表後、すでに注目が集まっている
- ⚠️ 家賃・不動産価格が上昇傾向
野方・石丸エリアを検討している場合:
- ⚠️ 現時点では交通不便(バスのみ)
- ⚠️ 延伸実現は不透明
- ✅ 延伸が実現すれば大きく発展する可能性
- ✅ 現時点では家賃が手頃
長期的に福岡移住を考えている方
5〜10年後の移住を検討:
- 延伸計画の進捗状況を定期的にチェック
- 2026年度予算で検討費が計上されるかが最初の関門
- 詳細ルートが決まれば、駅予定地周辺が注目される
投資目的で不動産購入を検討:
- 延伸が実現すれば大きなリターンの可能性
- ただし、実現しないリスクも考慮すべき
- 延伸の有無に関わらず価値がある立地を選ぶのが安全
6両化計画の影響
延伸よりも確実に実現する6両化計画についても押さえておきましょう。
6両化のスケジュール:
- 2026年度:予算計上、設計開始
- 2027〜2030年度:車両製作、施設改修
- 2031年度頃:運用開始(想定)
移住者への影響:
- 朝のラッシュ時の混雑が緩和
- 快適な通勤環境
- 七隈線沿線の魅力向上
- 定員50%増で余裕が生まれる
よくある質問(FAQ)
Q1. 橋本-姪浜延伸は本当に実現しますか?
A. 現時点では不透明です。
採算性の問題(費用便益比0.6、単年度1億円の赤字)があり、実現には高いハードルがあります。2026年度に検討費が計上されるかどうかが、最初の大きな関門となります。
実現の鍵:
- 採算性の改善策が見つかるか
- 国の補助金が得られるか
- 市民の合意が形成されるか
- 代替案との比較でどう判断されるか
Q2. 延伸が実現するとしたら、いつ頃開業しますか?
A. 最速でも2040年代前半と予想されます。
過去の博多駅延伸の例では、事業化決定から開業まで約12年かかりました。橋本-姪浜延伸は距離が3倍以上あり、さらに時間がかかる可能性があります。
想定スケジュール:
- 2026年:検討開始
- 2030年頃:着工(順調な場合)
- 2040年代前半:開業
Q3. 移住先として橋本駅周辺と姪浜駅周辺、どちらがおすすめですか?
A. 目的によって異なります。
橋本駅周辺がおすすめの人:
- 糸島方面によく行く
- 自然環境を重視
- 比較的静かな環境を好む
- 延伸に期待してリスクを取れる
姪浜駅周辺がおすすめの人:
- 現時点での利便性を重視
- JR筑肥線も利用したい
- 延伸を待たずに便利な環境が欲しい
- リスクを避けたい
Q4. 七隈線の混雑は本当にひどいですか?
A. 朝のラッシュ時は非常に混雑しています。
2023年の博多駅延伸後、ピーク時の混雑率は最大130%に達し、朝のラッシュ時は身動きが取れない状態です。
対策:
- 早めの時間帯を選ぶ
- ラッシュのピークを避ける
- 6両化まで我慢する
- 代替ルート(空港線経由)を検討
Q5. 延伸計画は福岡移住の判断材料になりますか?
A. 参考程度に留めるべきです。
理由:
- 実現するかどうか不透明
- 実現しても15年以上先の可能性
- 延伸の有無に関わらず住みやすいエリアを選ぶべき
移住判断のポイント:
- 現時点での利便性
- 生活環境の質
- 家賃・物価のバランス
- 仕事や学校へのアクセス
- 延伸計画は「あれば嬉しい」程度
まとめ
福岡市地下鉄七隈線の橋本-姪浜延伸計画は、2025年11月に正式に検討段階に入りました。実現すれば福岡市西区の交通利便性が大きく向上し、地域の発展にもつながりますが、採算性の問題など多くの課題があり、実現は不透明な状況です。
福岡市は今、大きな発展の時期を迎えています。天神ビッグバン、博多コネクティッドによる都心部の再開発、七隈線の博多駅延伸、そして今回の新たな延伸計画。すべてが福岡の未来を明るくする取り組みです。
ただし、移住の判断は「今」の利便性で行うことをおすすめします。延伸計画は魅力的ですが、実現まで長い年月がかかり、実現しない可能性もあります。橋本駅周辺も姪浜駅周辺も、現時点ですでに十分魅力的なエリアです。
福岡移住を検討している皆さん、延伸計画を頭の片隅に置きながら、「今」の福岡の魅力を存分に味わってください。
この記事のポイント
- 延伸計画が正式に検討段階に
- 橋本-姪浜間:約4.5km、事業費1,790億円
- 2026年度予算での検討費計上を視野
- 採算性に大きな課題
- 費用便益比0.6、単年度1億円の赤字
- 償還不可という厳しい結果
- 実現には長い年月が必要
- 最速でも2040年代前半の開業
- 実現しない可能性もある
- 6両化は確実に実現
- 混雑緩和のため250億円で実施
- 2030年代前半の運用開始想定
- 移住判断は現状で行うべき
- 延伸計画は参考程度に
- 現時点での利便性を重視
関連する交通計画
福岡市都市交通基本計画
福岡市は2024年に、都市交通基本計画の改定に向けて新線11ルート・15案を概略試算しました。橋本-姪浜延伸もこの中に含まれています。
他の検討ルート:
- 天神~博多ふ頭中央ふ頭
- 博多駅~薬院
- 博多駅~福岡空港国際線
- 南部地域拠点(大橋)~七隈線
- など
最新情報の入手方法
延伸計画の最新情報は、以下から入手できます:
- 福岡市交通局公式サイト
- 福岡市議会の委員会資料
- 地元新聞(西日本新聞、読売新聞福岡版など)
- 福岡市の広報誌




