那珂川市は、福岡市中心部からわずか13kmの距離にありながら、豊かな自然環境を併せ持つ、2018年に誕生した福岡県で最も新しい市です。
那珂川市は、福岡県の中西部に位置し、2018年10月1日に筑紫郡那珂川町から市制を施行した、福岡県内で最も新しい自治体です。人口は約5万人を数え、総面積は74.95平方キロメートル。
あまがみ市名の由来となった那珂川が市の中央を南北に貫き、博多湾へと注いでいます
この市の最大の特徴は、「都市と自然の絶妙なバランス」です。北部は福岡市のベッドタウンとして発展し、博多南駅周辺を中心に住宅地や商業施設が集積しています。一方、南部は三方を背振連山に囲まれ、南畑ダムや五ケ山ダムなど豊かな自然環境が広がっています。
那珂川市とは、福岡県で「最も新しい市」


那珂川市は古代において奴国の都であったとも考えられており、歴史的にも重要な地域です。明治22年に南畑村、岩戸村、安徳村の三村が誕生し、昭和31年にこれらが合併して那珂川町となりました。



町発足当時の人口は約9,000人だったが、福岡市の都心部に近いという地理的優位性から人口は順調に増加
2015年の国勢調査で人口が5万人を突破したことで、単独市制施行の要件を満たし、福岡県で最も新しい市として誕生しました。
市制施行により、福祉事務所の設置が義務付けられたことで、家庭児童相談室の設置や母子・父子自立支援員の配置など、市民サービスが大幅に向上しています。
那珂川市のアクセス:博多駅まで新幹線で8分


那珂川市は博多駅まで新幹線でわずか8分という、全国でも稀に見る優れた交通アクセスを持っています。



那珂川市の交通の要となるのが、JR博多南駅です
この駅は新幹線の車両基地があるため、博多駅との間を新幹線車両が運行する全国でも珍しい駅となっています。
博多南線の魅力
博多南駅から博多駅までの所要時間は、最速でわずか8分。通勤ラッシュの時間帯には10分間隔で運行されており、待ち時間もほとんどありません。



しかも運賃は片道300円と、新幹線に乗れることを考えれば非常にリーズナブルです
初めて訪れた福岡市内からの来訪者は、この「日常的に新幹線に乗れる」という体験に驚きと楽しみを感じることが多いようです。通勤や通学で毎日新幹線に乗るという、他の地域ではなかなか味わえない特別な日常を送ることができます。
西鉄バスでのアクセス
JRだけでなく、西鉄バスも充実しています。西鉄バス那珂川営業所から、西鉄大橋駅までは約22分、博多駅までは約55分でアクセス可能です。



大橋駅で西日本鉄道の天神大牟田線に乗り換えれば、天神地区へも30分程度で到着できます
車でのアクセス
福岡空港から那珂川市役所までは車で約40分(約14km)。また、国道385号線が市内を通っており、佐賀県方面へのアクセスも良好です。福岡都市高速を利用すれば、野多目ICから市街地へ短時間でアクセスできます。



このように、那珂川市は「福岡市に近すぎず、遠すぎず」という絶妙な距離感にあり、都心への通勤・通学に便利でありながら、落ち着いた生活環境を確保できる理想的な立地と言えます
那珂川市の住みやすさ:子育て世代に人気の理由
那珂川市は、都市の利便性と自然環境のバランスが取れており、特に子育て世代から高い支持を得ている住みやすい街です。
那珂川市が「住みやすい街」として注目される理由は、複数の要素が組み合わさっています。
人口構成と地域の特徴
現在、那珂川市全体の平均年齢は44歳で、65歳以上の割合は約25%。45〜49歳の働き盛り世代が最も多く、若い子育て世帯の流入が続いています。



日本の政令指定都市の中で人口増加率がトップの福岡市のベッドタウンとして、那珂川市も順調に人口を伸ばしています
市の人口の約8割が市街地に集中しており、特に博多南駅周辺は高層マンションが林立する近代的な住宅街となっています。一方で、市全体の面積の大半は農地や山地が占めており、同じ市内でも全く異なる表情を見せています。
子育て支援の充実
那珂川市では、時代に合わせた子育て支援が整備されています。
子育て支援アプリ「nobinobi」を提供しており、子育て講座の開催日、健康診断や予防接種の時期など、子育てに関する情報をタイムリーに受け取ることができます。予防接種のスケジュール管理や定期検診の数値のグラフ化など、デジタル時代に対応した便利な機能が備わっています。



また、児童手当や医療費給付、ひとり親家庭への支援など、さまざまな用途で利用できる制度が整っており、妊娠中から成人までトータルでサポートを受けられる体制が構築されています
2025年10月からは第3子以降の保育料無償化も実施されており、多子世帯への支援も手厚くなっています。
ふれあいこども館という複合施設では、午前9時から午後5時30分まで(月曜休館)子育て家庭が利用でき、おもちゃ病院やママのほっとタイムなど、多彩なイベントが開催されています。
教育環境
市内には複数の小学校があり、各小学校の敷地内に市立学童保育所が設置されています。



放課後等に家庭で保育が受けられない1〜6年生までの児童が、安全に安心して過ごせる場所として機能しており、働く保護者にとって心強い存在です
学童保育所は日曜・祝日・年末年始を除く毎日開所しており、学校行事による振替休日も開所するなど、柔軟な運営が行われています。
生活の利便性


大型ショッピングモールこそありませんが、市中心部にはスーパーや家電量販店、飲食店が数多く集まっています。特に子育て世代が多いためか、店内も広く設計されており、小さな子ども連れでも肩身の狭い思いをせずに買い物ができる環境が整っています。



博多南駅前ビル「ナカイチ」は市の新しい拠点として、情報センターやテナントが入居し、コミュニティスポットとしての機能も担っています
地価と住宅価格の魅力
那珂川市の地価や住宅価格は、福岡市中心部と比較すると安価です。



自然に囲まれながらも福岡市内への通勤に便利という立地で、のびのびと子育てができる環境を求める世帯にとって、コストパフォーマンスの高い選択肢となっています
広めの一戸建てを持ちやすい価格帯でありながら、都心へのアクセスは抜群という、「いいとこ取り」ができる点が大きな魅力です。
那珂川市の自然環境と観光スポット


結論:那珂川市は「福岡都市圏から最も近いアーバンアウトドアの聖地」として、豊かな自然を活かした観光やレジャーが楽しめます。
那珂川市の大きな魅力の一つが、市名の由来にもなっている那珂川を中心とした豊かな自然環境です。
五ケ山クロス:アウトドアの新拠点
近年、那珂川市が最も力を入れているのが「五ケ山クロス」です。



これは、アウトドアブランド「モンベル」が手がけるキャンプ場やアクティビティ施設が集まったエリアで、次の3つの施設で構成されています
- CAMP SITE:本格的なキャンプが楽しめる施設
- RIVER PARK:川遊びやカヌー体験ができるエリア
- BASE:五ケ山クロスの拠点施設で、モンベルストアやコワーキングスペースを併設
五ケ山ダムは九州最大級のダム湖で、背振の山々に囲まれたロケーションは圧巻です。



カヤック体験やサイクリング、クライミング、トレッキングなど、さまざまなアウトドアアクティビティを一箇所で楽しめるぞ
中ノ島公園:桜と川遊びの名所
中ノ島公園は、那珂川の自然にできた中州をそのまま生かした公園です。春には桜が美しく咲き誇り、花見スポットとして人気。



夏は川遊び、秋は紅葉と、四季折々の楽しみがあります
公園内には生産物直売所「かわせみの里」があり、那珂川市で採れた新鮮な農産物や特産品を購入できます。地元の味を楽しみながら、自然の中でゆったりと過ごせる憩いの場となっています。
博多南自然体験ファーム
「体験型コミュニティ農園」として運営されている施設で、農作業体験や野菜の収穫、各種ワークショップに参加できます。土日祝日にはBBQスペースも利用でき、家族連れで賑わいます。都会では味わえない「土に触れる」体験ができる貴重なスポットです。
源泉野天風呂 那珂川清滝


開湯1300年以上の歴史を持つ温泉施設もあり、豊かな自然の中で温泉を楽しめます。博多駅から無料の送迎バスで約1時間。



露天風呂がいくつもあり、リーズナブルな価格で癒やしの時間を過ごせます
筑紫耶馬溪と岩戸神楽
市内には筑紫耶馬溪と呼ばれる渓谷美があり、自然保養施設「グリーンピアなかがわ」も設置されています。また、伏見神社で毎年7月14日に奉納される岩戸神楽は、福岡県の無形文化財に指定されており、18種の舞が伝えられています。



このような伝統文化も、地域の魅力の一つです
南畑美術散歩
緑豊かな南畑地区では、2014年から毎年「南畑美術散歩」が開催されています。この美しい環境に惹かれて移り住んだアーティストや作家が多く、普段は一般公開されていない工房を巡ることができる貴重なイベントです。



芸術と自然が融合した、那珂川市ならではの文化活動と言えるでしょう
那珂川市の特産品と食文化
那珂川市は農業が盛んで、特に「ヤーコン」という健康野菜が市を代表する特産品として知られています。



那珂川市の南部から中部にかけては水田や畑が広がっていて、農業が基幹産業の一つとなっているぞ
特産品「ヤーコン」
那珂川市を代表する特産品が「ヤーコン」です。1999年から新規作物の導入を目的としてヤーコン栽培に取り組み始め、2001年にはヤーコン生産者部会も設立されました。



ヤーコンは南米アンデス原産の根菜で、水分を多く含み、ほのかな甘みがあります。食物繊維、カリウム、ポリフェノールが豊富で、健康野菜として注目されています
市内の物産館などでは、ヤーコンまんじゅう、ヤーコンドリンク、ヤーコンジャムなど、ヤーコンを使った様々な加工品が販売されています。
その他の農産物
ヤーコン以外にも、那珂川市では多様な農産物が栽培されています。
- ヤマモモ:市の木に指定されており、「幻の果実」とも呼ばれるヤマモモから作られたジャムは、甘酸っぱい味わいが人気です
- みかん、アスパラガス、タケノコ、ホウレンソウ:季節ごとの新鮮な野菜が豊富
- わさび:山間部では那珂川の清流を利用したワサビ栽培も行われています
- ニジマス:清流を活かしたニジマス養殖も行われています
これらの農産物は、生産物直売所「かわせみの里」などで購入でき、地産地消の取り組みも活発です。
那珂川市の文化施設
那珂川市には、市民の文化活動を支える充実した複合文化施設が整備されています。



市の中心部にある「ミリカローデン那珂川」は、那珂川市を代表する複合文化施設です
ミリカローデン那珂川の特徴
- 文化ホール:820席を有する本格的なホール
- 那珂川市図書館:15万冊の蔵書を持つ図書館
- 屋内プール:市民の健康増進に貢献
- 生涯学習センター:各種講座や教室を開催
- 松口月城記念館:那珂川市出身の松口月城の功績を称えた記念館
「ミリカローデン」という名称は、那珂川市の木であるヤマモモ(myrica)と、まちの花である筑紫シャクナゲ(rhododendron)に、広場(garden)を合わせて作られた造語です。市のシンボルとなる施設名にも、那珂川市らしさが表現されています。
那珂川市への移住を検討する際の注意点
那珂川市は非常に魅力的な街ですが、移住を検討する際にはいくつか確認しておくべきポイントがあります。



那珂川市への移住を考える際、メリットばかりではなく、以下のような点も理解しておく必要があります
地域差が大きい
市の人口の約8割が市街地(博多南駅周辺など北部)に集中しており、南部の中山間地域では過疎化と高齢化が進行しています。



住む場所によって生活環境が大きく異なるため、実際に現地を訪れて確認することが重要です
北部の市街地は人口密度が7,000人/平方キロメートルに近いのに対し、市全体では約10分の1の人口密度となっており、同じ市内でも正反対の特性を持っています。
大型商業施設は限定的
大型ショッピングモールなどの商業施設は限られています。



日常の買い物には困りませんが、大規模なショッピングを楽しみたい場合は、福岡市内へ出る必要があります
車があると便利
博多南駅周辺以外の地域では、車があった方が生活の利便性が格段に向上します。



特に南部の自然豊かなエリアに住む場合、車は必須と考えた方がいいだろう
バス利用時の注意
西鉄バスは運行していますが、ラッシュ時以外は本数が限られる路線もあります。



通勤・通学でバスを利用する場合は、事前に時刻表を確認することをおすすめします
まとめ
那珂川市は「ちょうどいい」を実現できる街です。福岡市中心部へ新幹線で8分という抜群のアクセスを持ちながら、豊かな自然環境にも恵まれた、2018年誕生の新しい市です。
「都市の利便性」と「自然の豊かさ」という、相反するように思える二つの要素が絶妙にバランスしており、特に子育て世代にとって理想的な環境が整っています。博多駅まで新幹線で通勤しながら、週末は五ケ山クロスでアウトドアを満喫する、そんなライフスタイルが実現できるのが那珂川市の最大の魅力です。
子育て支援アプリや充実した保育・学童保育施設、幼児教育・保育の無償化など、時代に合わせた子育て支援も充実。市制施行により福祉事務所が設置され、子育て世代だけでなく、すべての世代にとって住みやすい街づくりが進められています。
地価や住宅価格が福岡市中心部より安価であることも、広い家で子育てしたい世帯にとって大きなメリットです。ヤーコンをはじめとする豊富な農産物、歴史ある温泉、伝統文化なども、この街ならではの魅力と言えるでしょう。
福岡への移住を検討されている方で、「都会すぎず、田舎すぎず」「便利さと自然の両立」「子育てしやすい環境」を求めているなら、那珂川市は有力な選択肢となるはずです。まずは一度訪れて、博多南駅から新幹線に乗り、五ケ山クロスでアウトドアを体験し、中ノ島公園で那珂川の清流に触れてみてください。きっと「ここに住んでみたい」と感じられるはずです。




